釧路市益浦の海岸近くに、崖の上へと続く階段(通路?)と謎の建物がある。
私は以前からこれが気になっていた。
表示板には「気象庁 釧路高層気象観測施設」とある。どうやら気象観測用の気球を飛ばす為の施設らしい。
詳細を知る為、釧路地方気象台に電話してみると、「実際に見てみた方が早いでしょう」との回答。
えっ、見られるの?これは面白そうだ。
気球は365日休みなく1日2回、8時30分と20時30分に飛ばしている。
翌朝、我々は放球(気球を飛ばすこと)の瞬間を捉えるべく施設の下で待機した(敷地内は立ち入り禁止。建物にもイタズラしてはいけない)。
建物の屋根に丸い物体が設置されているが、あれが観測気球なのだろうか?
何か金属っぽいが…レーダー?それともアレが開いて気球が出て来るのか?
カメラを構えてその瞬間を待つ。
そろそろか?あと30秒……10秒……。プシュ〜……シュバッ!………えっ?速っ!
白い気球はあっという間に霧深い空の彼方へ。風船みたいにフワフワ上がっていくのを想像していたら、結構な飛翔速度だった。
どうやら屋根の上の丸いのはアンテナで、気球を揚げる放球筒はその後ろにあったようだ。
早速、釧路地方気象台で沢田義信主任技術専門官に話を聞かせていただいた。釧路高層気象観測施設は2010年3月15日よりGPSラジオゾンデによる観測運用を開始している。ラジオゾンデとは気圧、気温、湿度等の気象要素を測定するセンサと無線送信機を搭載した気象観測器。これを気球に吊るして毎日決まった時刻に世界各地で飛ばしている。これがラジオゾンデによる高層気象観測である。気球は上空30000mくらいまで上がり、そうして得られた気温・湿度・風向・風速といったデータは天気予報や気候変動・地球環境の監視、航空機の運航管理など様々な場面で利用されている。気象庁では全国16箇所の観測地点や南極の昭和基地で実施しており、その一つが釧路市益浦のあの建物なのだ。
▼釧路高層気象観測施設で使用されているのは一番右のラジオゾンデ※こちらの画像は許可を得て使用しています。
結構重要な、というか地球規模のお仕事をしている施設でございました。なお、釧路の局舎は放球と水素ガスの製造・供給を自動で行う最新鋭のものだそうで。それにしても、建物から気球が飛び出す瞬間は往年の名作不条理SFドラマ『プリズナーNO.6』のオレンジ警報を思い出してしまいましたね〜。というわけで…身近な疑問、気になるアノ事、調べて納得、道東クエスト!今回はここまでッ!
取材協力︰釧路地方気象台
詳しく知りたい方は気象庁ホームページ
http://www.jma.go.jp/jma/index.html
内、「ラジオゾンデによる高層気象観測」を参照下さい。