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みなさんはご存知ですか?春の盛りを白く彩るエンレイソウ。その中に「川湯」の名前をもつものがあるんだとか。もちろん、我々は知りません。いったいどんな花なのか。
春に浮かれるおじさんに、その姿を見ることはできるのか
萌ゆる春、弟子屈町にカワユエンレイソウを探しに行きます。

芝桜に囲まれて こんにちわ、高橋です。
春の盛りに咲き乱れるエンレイソウ。
そのなかに弟子屈町「川湯」の名をもつ固有種※がある、とインターネッツで知りました。

※【固有種】ある特定の地域にしかいない動植物の種(しゅ)です。

その名は「カワユエンレイソウ」。
ということで、春の弟子屈町川湯地区に行ってきましたー。

「おれは 雑な仕事はしない。ただ 丁寧にやらない、それだけなのさ…」の名言をもつ男、
ライター Tommyさんと、なるべく丁寧に お伝えしていこうと思います。
今回 カメラを一部担当するTommy、若干 緊張気味です。

花の見頃と聞いた5月中旬、天気のいい日に出発でーす。

3分ほどの動画はこちらからどうぞ。

弟子屈川湯温泉地区につくと エゾムラサキ。
これも春ですなあ。

今回「カワユエンレイソウ」についてお聞きしたいと連絡したところ、
快く取材に応じていただいた「 川湯エコミュージアムセンター」(以下、川湯EMC)。

いわずとしれた、阿寒摩周国立公園・摩周地域の自然や動植物を伝える拠点のひとつ。
登山道や散策路、展望ポイントや探勝ポイントの情報も知ることができます。

2017 冬に コオロギを探しに行った時 も お世話になりましたー。

2階には4K 画質の迫力映像、
自然編・アクティビティ編を見ることのできる「映像コーナー」も。
ソファもあるので 阿寒摩周国立公園の魅力をくつろぎながら 見られますよー。

川湯EMCの自然解説員、上野 絵里奈(うえの えりな)さんに、
カワユエンレイソウについて うかがいます!



カワユエンレイソウとは?



本日はお時間をいただき ありがとうございます!
「カワユエンレイソウ」について、おしえてください。

 

 

よろしくお願いします。

 

 

 

さっそくなんですが、
春に咲く、ということですが 見ごろは?

 

 

5月中旬 6月上旬ごろですね。
ちょうど 今が見頃です!

 

 

 

カワユエンレイソウ とは?

1996年に新種登録されたユリ科エンレイソウ属の多年草

オオバナノエンレイソウミヤマエンレイソウのミックス(交雑種 )

〇花期は5月中旬~6月上旬

〇弟子屈町川湯の湿り気のある林の中などで群生している



川湯のカワユエンレイソウ



 

カワユエンレイソウで調べてみると、
弟子屈町の人たちにとても大切にされている、愛されている、
という印象を受けました。

 

 

はい。
多くの地元ボランティアさんたちを含め、
国や弟子屈町 一体となって 保護活動や分布調査を行っています。

 

 

見てみたい、けれども なによりマナーは守りたい。
我々のような素人に、気を付けるべきポイント、
なにかアドバイスをいただきたいのですが。

 

 

そうですね。カワユエンレイソウは絶滅危惧種です。
「踏まないように・場所を荒らさないように」を、
ぜひ 心がけていただければと思います。

 

 



カワユエンレイソウに挑む装備



これから我々もカワユエンレイソウを探しに行くのですが、
事前に必要な装備や心がけを教えてください。

 

 

カワユエンレイソウの植生地は、
林の中など湿り気のある場所なので、
ダニなどの防虫対策が必要です。

 

 

長袖など野外散策の装備、ということですかね?

 

 

 

そうですね。
または春はヒグマの季節です。
出没情報などの確認、クマよけ鈴などの装備もあるといいですね。

 

 

カワユエンレイソウを探すために必要な準備

 防 虫 対 策 → 帽子・長袖上下・長靴 & 防虫剤
 ヒグマ対策 → 川湯EMCなどでの出没情報確認 & クマよけ鈴など



取材を終えて・カメラマン Tommyからのお願い



インタビュー風景をカメラで撮っていたTommyが突然)
ちょっと、いいですか!?

 

 

「ん? ほかに 質問あった?」

 

 

 

「いや、質問は まったくない。
 上野さん、
 ちょっと手元のファイルを持ってもらっていいですか?」

 

 

「ええと、こう、ですか?」

 

 

 

ポーズ要求してる・・・
テレビ以外で初めて見たわ

 

 

「 アラ イイデスネー・・・、
 ハイッ!
 そのまま!!

 

 

「あっ、はい…。」

 

 

取材中に まさかの こだわりポーズ 要求、
驚きと混乱の中 撮られた写真、こちらです ▽

正直、ぎこちなさしかねぇと思いますが。
他の写真、全部 笑顔だった上野さんも そりゃ 真顔だよ。
温かく迎えて下さった川湯EMCの雰囲気 が伝われば幸いです。

たくさんの質問だけではなく、
無茶な要求にもお答えいただいた川湯EMC および 上野さん、
ありがとうございました!



カワユエンレイソウ・実践編



さて 川湯EMCを離れ、いよいよカワユエンレイソウに会いに行きます。
場所は特にこだわらなくても
エンレイソウ自体は沿道に これでもかと生えてます。

群生している場所などは川湯EMCで教えてくれるそうですよー。
館内にはマップでの掲示もありました。
我々は車を公共の駐車場に置き、歩いて「摩周国道」沿いのポイントを探します!

エンレイソウが たくさん生えている林を発見、道路から降りて 入ってみます。
目に入るだけでも 数百本はありそうな エンレイソウ・・・。
その姿、まさに「 迷宮 」。

川湯EMCさんで教わった、
踏まない・場所を荒らさない」をしっかり守って散策しますよー。

北海道には9種のエンレイソウが植生しているそうですが、
川湯でよく見られるのは

オオバナノエンレイソウ
ミヤマエンレイソウ
カワユエンレイソウ

の3種。
この群落の中から「カワユエンレイソウ」を
探してみます!

・・・開始30秒、後ろ向き加減に定評のある Tommy 氏から、
「 もぅ、マヂ  ムリ・・・ 」のコメント。
たしかにこの数、むやみに探しても無理っぽい。

エンレイソウ迷宮の入口にも立てなかったTommyですが、
ちょっと落ち着いて 川湯EMCで 教わったことを思い出してみましょうよ。

 

カワユエンレイソウの特徴

①横向きに咲く!

②めしべ が おしべ よりも短い か、同じくらい!

③花は「がく片(花の下の緑の部分)」よりも 大きい!

④おしべは、葯(やく)の部分が 花糸(かし)の約2倍!

よく見ると、ほとんどのエンレイソウは株立ち(上向き)で咲いています。
カワユエンレイソウの特徴である、
①「横向きに咲く」を ふまえて 探してみると・・・。

あれ、意外に 横向きは少ない
かがむと見やすい。
あっという間に、目に入るエンレイソウの数が 減ります。

横向きのをさっそく見つけました。
真ん中の 雌(め)しべ  を 取り囲むように 雄(お)しべ があります。
②「めしべ が おしべ よりも短いか、同じくらい」。比べてみますよー。

これはおしべのほうが長いですねー。残念。
これは「オオバナノエンレイソウ」。次にいきます。

花が長細いのや、しわが寄ったようなもの。
どんだけバリエーションがあんだよ…。

エンレイソウの迷宮、じつに おくぶかい 
しかし なにごとも 基本に忠実な マニュアル人間 高橋、
「①横向き、②おしべが短い…」と呪文を唱えながら散策を続けます。すると…。

①横向きに咲いていて、②雄しべの方が雌しべよりも短い。
そして③花は がく片よりも大きい

キタ━━━━。゚+.ヽ(´∀`*)ノ ゚+.゚━━━━アァ!!

散策から30分ほど、(たぶん)カワユエンレイソウ、発見 です!

一度見つけると すぐ次のが目に止まります。
これは前の春に見つけたウラホロイチゲと同じ体験。
「カワユエンレイソウ」、花に 丸みが強く かーわええ。

④おしべは、葯(やく)の部分が 花糸(かし)の約2倍、というのは
絶滅危惧種と聞いた後で さすがに花に指をつっこむ度胸はなく、
確認してません。ご容赦ください

1時間ほどの散策で見つけることができましたー
エンレイソウ属、花期は春の1カ月ほどですが

種から開花までは 約10年の月日が かかるそうです。

混生するオオバナノエンレイソウとミヤマエンレイソウの群生地は ほかにもあるのに、
ここ、川湯にしか咲かないとされる カワユエンレイソウ。
川湯EMCの展示には、アトサヌプリ(硫黄山)が影響していると考えられている、の表記がありました。

初夏を感じさせる強い日差しの中で出会った カワユの、エンレイソウの、生物のふしぎ。
春に目にする白い花。その道の端の先には、めくるめく命の迷宮が ありました。

さて、「かっこいい道東式」ではありますが、
川湯でのカワユエンレイソウのさがし方、まとめてみましたよ。
写真クリックで大きくできます。

※川湯EMCでお聞きした内容と資料により作成しました

んでもって 迷宮をさまよううちに、
めしべだけでエンレイソウって けっこう見分けられるんじゃね?」
と思って作成したのが、こちら▽。

まあ、カワユエンレイソウは めしべだけでは見分けられないんですが、
お近くに咲くエンレイソウ、見わけてみて下さいねー。

川湯エコミュージアムセンター

川上郡弟子屈町川湯温泉2-2-6
TEL.015 - 483 - 4100 FAX.015 - 483 - 4111
http://www.kawayu-eco-museum.com

 

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