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「シマエナガって、ほんとにいるの、あえるの?」。わからない。それどころか 、野鳥のことがなにもわからない。そんな野鳥素人が冬の妖精に会えるような奇跡があれば、「かっこいい」道東の一端に触れられるかもしれない。サイト 10,000 view 御礼企画 高橋side、知識ゼロからシマエナガに会うまでを目指した、わりとガチな ひと冬の記録。

こんにちわー。
好きな動物は猫、なんだか申し訳ない気持ちでいっぱい、高橋です。

サイト 10,000 view をきっかけにどんな記事を読みたいか お聞きしてみたところ、
多かったのが「シマエナガって、見られるの、あえるの?」という声。

写真やテレビで愛らしい姿を見せてくれる野鳥、シマエナガ。
北海道にいるらしいけど、ちょっと遠い存在みたい。

もちろん どこにいるかも、どうすればいいかもわからない。
だからこそ、我々 野鳥素人が会うまでを伝えたら その答えになるかもしれない。
会えなかったら・・・まぁ、それはそれでいいじゃないか

野鳥観察初心者の方は、マナーなどをまとめた記事(リンク)も よろしければ ご覧ください。
記事内では全シマエナガーの神でもあり、「シマエナガさんの12ヵ月」の著者の一人でもあられる

阿寒国際ツルセンター館長、河瀬 幸さん からアドバイスをいただいていますよ!

とりあえずやってみましょうよ、ということなのですが、
まず我々、シマエナガさんを知らない
「シマエナガ」とはどんな鳥なのか、まとめてみます。

シマエナガ(島柄長)さんの特徴

①体長は14センチほど(うち半分が尾)
 日本で二番目に小さい鳥(一番はキクイタダキ)
②動きが素早い
③警戒心は わりと弱い
④秋から冬にかけて ほかの鳥と群れを作ったりする

小さい早い、そして見つけても 遠いことがある。
実際に行ってみて思ったのが、肉眼ではムリだろ…ということ。
7センチはこのくらいの大きさ▼

手ぶらで行けないのは残念ですが、

単 or 双眼鏡、もしくはカメラが必要

といっていいのではないかと思います。 デジカメだとその場で姿を確認できますしねー。
また、はじめる季節を冬にしたのは「木の葉がなくて鳥の姿を見つけやすい」、
という初心者にはありがたい季節だからです。

・・・なんとか 冬の間に出会いたい。

そして我々にはシマエナガに出会ったことを記録する、野鳥撮影という難題もあります。
まずは練習をかねて 釧路市・春採湖から初めてみることにしました。



 

釧路市・春採湖 編



というわけでここから「初めての野鳥観察」、スタートでーす。
凍結している春採湖です。

通って3回目までは 撮影どころか、
カラス以外、ちゃんと見られません。
そんな中、旧科学館の最上部にいた 意識高い系カラスさん。

声をたよりに移動すると、鳥によりますが、
雪を踏みしめる音で逃げたり、鳴き止んでしまいます。
そこで、逃げてしまう鳥は あきらめる として、

 移動→鳴きやむ→待つ→また鳴きはじめる→探す→繰り返す

というパターンに。
すると少しずつ、野鳥たちが姿を見せてくれるようになりましたよ。

下から見上げると夕方の春採湖、こんな感じ。

声をたよりに 見あげると、
・・・ おー、ヒヨドリさん!
春採湖、カラス以外の鳥、初撮影。

何かをくわえた、たぶん ハシブトガラさん。
よく見かけますが 日本で見られるのは じつは 北海道だけとか。
コガラさんとの見分け方は 試験に出ていいレベル。

上からクズがパラパラと降ってきて、見上げれば そこに シメ
品があるたたずまい。なのに 豪快に食い散らかす。ホレるわー。
かたい木の種が主食、そのための太いくちばし。

虫を探して 木の幹を身軽に走り回る、
ゴジュウカラさんの正面顔。
かーわええ。

なんとか写真も撮れるようになってきました。
これまで撮ったものと 比べてみましょう!
昨年夏、根室・春国岱で撮ったカワラヒワさん(たぶん)の写真 ▽

これに比べたら うまくなってる・・・!
1,000枚は撮ったピンボケ写真、無駄じゃなかった…。

これで「シマエナガー」として全世界から注目されることが ほぼ確定した高橋。
ありがとう春採湖。
おれ、羽ばたくよ…鳥の記事だけにね☆

さて、世界に飛び立つ準備はできたのですが、
春採湖を訪れた3カ月間(10回ほど)、
肝心のシマエナガさんに 会えない。存在を疑うレベルで 会えない。

当たり前ですが、野生の動物。
見たいからといって 見ることができるわけではありませんねー。

ただ一つ、わかったことは、
冬の道東は超寒い ということ。一時間もいたら 芯から冷えます。

そしてもう一つ、シマエナガさんに会えるまでという、
この企画は大丈夫なのか
ということを あえて 付け加えさせていただく(落涙)。



 

鶴居村・温根内 編



 

このまま会えないのか・・・。
毎晩枕を濡らす高橋のもとに 1月のあたま、
バードウォッチャーの方から「シマエナガにあったよー」という情報が!

急いで次の休日に出かけてみます。
標茶のシラルトロ湖付近、コッタロ湿原道路付近と教えていただいたのですが、

ポイントが分からないまま、鶴居村に出ました。

で、ここでも会えた、という場所、温根内(おんねない)へ行ってみます。

駐車場から階段を降りていきます。
この 「これからフィールドに入っていく」感、好き。

せっかくなので「温根内ビジターセンター」に立ち寄ってみますよ(以下、温根内VC)。

 

館内には 訪れた人によって書きこめる
情報交換地図」のようなものが置かれており、
そこには「シマエナガ」の文字があります!行きましょう!

温根内VCを出て歩くと すぐ、
野鳥の混群(違う種類の野鳥の群れ)に出会えました。

先にも書きましたが、

シマエナガは秋~冬にかけて他の鳥(カラ類など)と群れをなす

ことがあるそう。
もしかして・・・と期待は膨らみます。

いろんな声が入り混じって目まぐるしく飛び交う中、
混乱しながら近くの鳥にカメラを向けていきますよ!

まず来たのが日本のキツツキで最も小さいコゲラさん。
小さく短く木をつつくのは、幹にいる虫を狙っているそうです。

続いて目に入ったのが、シジュウカラさん。
コゲラがつついた下のあたりを器用に飛び回っていました。

その姿をじっと見下ろしていたハシブトガラ先輩。
しかし群れでいると、何を見てよいやら さっぱりわかりません
もう羽ばたきが見えたらカメラを向けて、バシャバシャ撮ってます。

そして。ついに。
以下、高橋の心の声でお送りいたします。

待って・・・無理・・・。

ッ、キャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!

こっち見て…ほわああああああああああああああああああああ!!

 ガワイイイイイイイイイイイイイ!!!!

これ、現実に生きてるの?CGじゃね?(真顔)

はぁぁぁぁ…尊い。シマエナガ殿、尊い。
あっ!・・・。

という間の5分ほどでした。
小さな水たまりで水浴びをしたり、2羽で飛び回ったり。
おじさん、興奮しすぎて頭痛したわ。

その後 温根内は2度行きましたが、
野鳥に一匹も会えない日も。

というわけで、みんな、シマエナガさんになんとか会えたよ。
運 と 情報 で 会えた感が否めないですが、
準備を含めて半年くらい、出会えたのは13回目の探鳥散策のときでした。

鳥と向かい合って一番感じたのは 人間と鳥、それぞれに流れる「時間」の違い。「シマエナガさんは素早い」と書きましたが、きっとその早さは シマエナガさんたちが体感している時間の流れが、人間よりも 早いから。高橋の場合、ほぼ10割 カメラの力で 目まぐるしい野鳥の世界に会うことができたわけですが、今のような機械のなかった時代、昔の人はどのようにシマエナガが見えていたのか。気になったので調べてみました。

日本語名:シマエナガ
アイヌ語名:ウパシチリ

「雪の鳥」

参照 アイヌ民族博物館 「アイヌと自然デジタル図鑑」より(リンク

1/8000秒という時間の中で見ることのできた、まばたきよりも速い出会い。
人間の何倍もの速度で流れている鳥たちの時間を想うと、
いつもの見慣れた風景が、実に いとおしい、非日常の箱庭 へと姿を変えます。

いつの日か、聞こえる声から野鳥の姿が想像できるようになれば、
寒々しいだけに感じていた冬の木立から、たくさんの命の彩りが見えてくるようになるかもしれない。
シマエナガさんを巡る旅は、大きな冬の楽しみを教えてもらった旅ともなりました。

さて、ざっくり半年くらいにわたる今回の旅でしたが、
シマエナガさんを追いかけるうち、

すっかり シメさんの ファンとなった高橋。

これからも シメ&エナガーとして、
素人目線の道東の野鳥をちょこちょこ伝えられたらなーと考えています。
というわけで これがやりたかった、シメさんで 締め

<参考にさせていただいたもの>
書籍 「シマエナガさんの12ヵ月」山本 光一・河瀬 幸・三浦 大輔(河出書房新社)
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