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根室市春国岱原生野鳥公園ネイチャーセンターのHPでみつけた「まるで外国にいるような錯覚を覚える」という一文。聞いてみると鳥や花が多い夏がおすすめだそう。おじさんたちが砂の島、夏の春国岱・現在行ける第一砂丘のはしっこ到達に挑みます。

夏ですよ!夏夏!
こんにちわー、夏を前に気合が入りすぎ 逆に夏バテぎみ、高橋です。

今回は 2017 春の記事、落石岬に続いての根室です。
さっくり見たい方はこちらの動画をどうぞー。

春国岱(しゅんくにたい)原生野鳥公園ネイチャーセンター(以下、春国岱NC)です。
実は今年2度目の訪問。
話は少し戻りますが、ゴールデンウィークにユキワリコザクラの開花時期を尋ねに来ました。

その時、
春国岱NCに常駐されている自然専門員、公益財団法人 日本野鳥の会 レンジャーの善浪めぐみさんと
少しお話させてもらったのですが。

高橋が春国岱NCのHPでみた「まるで外国にいるような錯覚を覚える」という、春国岱先端を目指すウォーキングコースについて聞いた時です。

高橋「春国岱の先端まで歩いてみたいんですけど、オススメの時期ってありますか?もちろんどの季節も見どころがあるんでしょうけど、例えばですね・・・」
善浪さん「はい、どのシーズンも見どころがあり、冬でも風の関係で雪が積もらずに歩けますが、鳥や花が多い夏がおすすめです(キッパリ)。」
高橋「え?」
善浪さん「第1砂丘を歩くコースでは・・・」
高橋「砂丘?春国岱って砂丘もあるんですか!?」
善浪さん「春国岱はですね・・・」

春国岱POINT!①

春国岱(しゅんくにたい)。

北海道根室市にある 「砂」が積もってできた島。
手つかずの砂浜・草原・湿原・干潟・森林が帯状に連なり、動植物の多種多様な生態がある。
3,000 ~ 1,500年前に形成された3つの砂丘からなる。北から第1~第3砂丘。

ざっくり言ってしまうと春国岱って全体が、時間をかけて海流が作った「砂の島」なんですね。
めちゃくちゃ 行ってみてぇー。

善浪さんの力強い言葉にがっつり心をつかまれた高橋。
「また6月下旬に来ます!」とやはり力強く告げ、道の駅スワン44へソフトクリームを食べに行きました。
周りには行ってもいないのに「春国岱は、やっぱり夏!」と繰り返す高橋。

そして2017年夏、春国岱ふたたびです。

さすが「野鳥の王国」、お出迎えはヒグマではなくオジロワシ。
まあ、窓の前に置かれた望遠鏡から普通にオジロワシの「実物」も見られたんですけど。

入り口から入ってすぐ正面に「春国岱の旬!」の掲示。春国岱や隣接する学習林の今見られる鳥や花の情報がまとめて張られています。資料・展示物も多数、シジュウカラのライブカメラも。

ちょうどカウンターにおられた善浪さんにご挨拶、2か月ほど経っていたのに覚えていて下さり、感謝。春国岱を歩く用意などをもう一度うかがいました。

春国岱POINT!②

☆夏の春国岱 最大の敵、「蚊」。集団で来る姿はまさに蚊柱。長袖長ズボンは必須。帽子、できるだけ肌を覆う、防虫剤を用意するなど最大限の防御を。
☆湿地があるので足元は濡れてもよい 長靴などの装備を。

春国岱スタート地点。この日の春国岱は曇り空、強めの風が吹いていました。
ここから片道約4km、おじさん2人で往復約4時間の「健脚コース」に挑みます。
「虫は友達」と嫌がるTOMMYにたっぷり防虫スプレーをかけ、さあ出発です。

まずは風蓮湖(ふうれんこ)を左に、木道を のんびり歩きます。
風は結構強め。開けた視界の中、木道の音が耳に心地いいー。

木道の下は「ウミミドリ」が咲き乱れていました。
10センチほど。小っちゃくてかーわいい。

まっすぐ伸びる木道の突き当りに、橋。
野鳥目当ての大砲カメラをさげた方々とたくさんすれ違いましたよ。

ただ橋が渡りたい、それだけで 迷わず左へ。

干潟(ひがた)の上を歩く!

分かれ道。
左側は木道が破損していたので、右へ。

すると広がる、アカエゾマツとトドマツの立ち枯れ。

その中にたくさんの草花たち。

「オオヤマフスマ」。

「ツマトリソウ」。

「シカちゃん」。

「行き止まり」
えっ!?
何も考えずに行きたいほうに歩いて おじさんたち、道を間違えていました。テヘッ。

もう一度橋のところまで戻って・・・。

右へ。
時間と体力はロスしたけど、楽しかったのでオーケーオーケー。
不安を感じたら即引き返す、という心構えで行きましたよ。

海沿いの道をひたすらまっすぐ行きます。

砂地部はトゲトゲの「エゾノコウボウムギ」がたくさん。
歩きやすいところを探りながら進んでいきましたよー。

少し歩けば、「シコタンキンポウゲ」の群生。
生命力あふれる風景を見ると 胸の奥から むくむくと、「夏」、こみ上げてきます。

風にそよぐ草原もまた、春国岱なんですねー。
「ハマナス」も咲き始めていました。

ハマナスを撮っていると、すさまじい鳥の なきごえ。
なんだなんだと声のほうへ目を向けると、タンチョウのつがい。

湿地越しにしばらく並んで歩いてましたが、飛んで行っちゃいました。

出発から一時間半ほど、ちょうどいい流木のところで休憩。

TOMMYのおやつは「草大福」と「よもぎまんじゅう」。
高橋は「パクチーチョコレート」。

草原の中での一服。すがすがしい空気

水分もたっぷり摂って再出発。このあたりで曇っていた空から光が。
風も少し和らいできたかなー、と思ったらすぐ 奴らがやってきました。
ウワサのです。

蚊との戦いに備え、ついに完全体の姿となるTOMMY。「虫は友達」じゃねえのか。
ちなみにですが、

〇TOMMY
ポリエステル 下ジーンズ &市販の防虫剤        → 下半身を5か所刺される

〇高橋
下ポリエステル
& ハッカ液を水で薄めたもの → 手の甲1か所刺される


という実験結果でしたー。

そして、ついに出会えたこの風景。歩いて2時間弱ほどからでしょうか。
一面のセンダイハギ。6月下旬~7月上旬が見ごろ。
ぐるりと見渡せば、海、草原、湿地、森林が目に入るというぜいたくさ。

立ち姿がすらっとキレイな「センダイハギ」。

素晴らしいネーミングセンス、「ハマハタザオ」。

ユニークな姿と紫が目を引く「ハマエンドウ」。

「ハマボウフウ」も旬!。たくさん咲いていました。

塩湿地に生えるバラ科の「エゾツルキンバイ」。
ハート型がキュート。花の見頃も長いそうです。

こちらはキク科の「ハマニガナ」。

蚊の大群との戦いが3度ほどありましたかねー。立ち止まるとヤバい、しつこい。
目に映る草花を撮りながら歩き続けると、やがて
前方の景色に変化が。
石造りの堤防のようなものが見えます。

2時間半かけて、ついに到着!
春国岱第1砂丘、ここが現在歩いて行ける最先端部です。

体力ナシおじさんたちでも何とか歩けましたー!ご助言いただいた春国岱NCに感謝です。
道のりはほぼ平坦。しかし湿地を避けながら蛇行して歩いたので思ったより歩いた感はありましたね。

俺は今、春国岱の先端に立っている。

木道より先は道なき道。時には生い茂る草花を踏まずにどこを進んでよいのか、迷うほど。
手つかずの原生が残る春国岱。
裏を返せば人が立ち入ることの少ない砂上にあるからなのかもしれません。

咲き誇る花たち、さえずる鳥の声、草原の夏の香り、きらめく水面、襲い来る蚊の大群。
5感をフルにつかって遊ばせてもらった春国岱。
おじゃましました、とつぶやきながら おじさんたちは帰ります。

振り返れば、撮影時間を入れて5時間越えの冒険になりました。
夏の始まり、風、たくさんの命を感じて歩いた、春国岱という「道東の中の異国」。

今回我々が行ったのは春国岱を最も長く歩く「健脚」コース。春国岱NCでは他にも4つのコース(15~40分ほど)の自然散策路をオススメしています。それぞれのコースは、見ることができる景色・動植物が違うという、多種多様な地形が連なる春国岱ならではのもの。

また、一人でフラッと訪れてみたい方とか、小学生(保護者同伴)でも参加できるイベントも随時行っています。「しゅんこくたい」と読んでいた高橋を受け入れてくれる、オホーツク海よりも懐の深い春国岱NC。ぜひホームページを訪れてみてください。

今回の記事 関連リンク集

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風蓮湖・春国岱 花・鳥カレンダー – PDF

ねむろのお花情報

Nemuro Field Note ねむろフィールドノート ~根室の野鳥情報~

道の駅 スワン44 ねむろ

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※記事文中、植物の名前等について根室市春国岱原生野鳥公園ネイチャーセンター様のご協力をいただきました。ありがとうございました!

根室市春国岱原生野鳥公園ネイチャーセンター
〒086-0074
北海道根室市東梅103番地
TEL.0153‐25-3047
HP.http://www.marimo.or.jp/~nemu_nc/workn/